【コールセンター受電のリアル】怒鳴られる、試される、人間の裏側をみた50代派遣主婦

主婦で派遣社員の日常

「答えられないなら電話に出るな!」
そう怒鳴られたのは、まだ受電業務を始めたばかりの頃。
電話口の向こうで、お客様の怒りや不安という、人生の縮図のような“感情”がぶつかってくる──

コールセンター歴10年以上の私は、この仕事を通して、人の心の裏側に何度も触れてきました。
この記事では、そのリアルな現場と、そこから得た“人の心を聴く力”について書いています。

昔の私と、再就職のきっかけ

昔々、新卒で入社した保険会社では、いわゆる「一般職」として勤務していました。
男性は「総合職」だった時代です。パソコンがまだそれほど普及しておらず、私たちは社内専用端末を使って日々の業務をこなしていました。

本社勤務になると、たまに一太郎で文書を作成することもありました。(一太郎、使っていた方や覚えている方いらっしゃいますか?)

時代が進み、再び働こうと思った時には、すでに「パソコンスキル必須」が当たり前に。
不安を抱えながらも、私は「金融業界のコールセンター」に活路を見出しました。金融は経験者を採用することが多いようです。

発信業務から受電業務へ

最初に配属されたのは、地域の限定された銀行の投資信託コールセンター。運用商品やセミナー誘致に関する発信業務を担当しました。
「ご案内がございましてお電話させていただきました、少々お時間よろしいでしょうか?」とスクリプト通りに電話をかける仕事。こちらのタイミングでかけられるため、まだ心の準備もできる状態でした。時折この件に関係のない質問をされることもありましたが、こちらがかけた電話での質問となるので(イニチアシブはこちら)対応はそこまで大変ではありませんでした。

しかしある日、受電のシフトが入りました。
相手からの突然の電話に、なんでも答えなければならないというプレッシャーがのしかかります。

「いま投信売ったらいくら?」「分配金は?」「税金は?」
あらゆる質問に即対応しないとなりません。自分の山のような資料を開きながら、なおかつクッション言葉や相槌、他の言い回しで再質問などして時間を稼ぎつつ答えを探して対応する。そんな日々でした。
※クッション言葉とは、会話の中で相手に配慮し、直接的な表現を避け、相手に心理的な負担をかけないようにする役割の言葉。「申し訳ありませんが」「恐れ入ります」など。

全国対応の“修羅場コールセンター”で地獄を見る

数年後、転職したのは全国対応の投資信託コールセンター
ここでは、これまでの経験が甘かったと思い知らされることになります。
研修もとてもしっかりとしたもの。資格があるからといっても、実際の商品の知識とは異なります。
この会社の投信の特徴、市場の値動き、難しい税金関係(ここでは税務署にお尋ねくださいとせず、ある程度答えないとならなかった)等…これをマニュアルと資料、ネット検索を駆使しながら答えていきます。

  • 「答えられないは許されない」空気
  • 「支店でわからないことも、ここで必ず解決せねばならぬ」の掟
  • ミステリーコールによる評価がよいことが自慢のプライド高しの文化

そんな中で、怖い先輩に指導されながらの…有名なクレーマー、親の商品の値下がりに怒り狂う家族、細かい税金の質問攻め、聞いて意味ある?な世界の指数を毎日聞いてくる常連さん。
“電話の向こうにある人間の怒りや不満”と、毎日向き合うことになったのです。

怒鳴られる、無言で耐える、とにかく察する

電話とはいえ怒鳴られると、心が落ち込み、指が震えます。
ときには「こちらは何も言わず、怒りが収まるまで待て」というマニュアル通りの“無言応対”をすることもありました。
電話は対面よりも、相手が本音を言いやすいのです。
来店したときには言わないようなことも言います。
人間の裏側や本性をみたような気持ちになったものです。

相手に合わせて対応する。
でも、ときには高齢のお客様が、何度も同じことを繰り返し、何を言っても通じない恐怖もありました。こちらからの切電は禁止のルールの中で、ひたすら耐える時間だけが過ぎていきます。

それでもやってこれた理由

メンタルがきついことは山ほどありましたが、それでも私はいまでも、事務の傍ら受電対応の仕事をしています。(このコールセンターではないです、また辞めてます)
なぜかといえば、それはやらざるを得なかったからなんですが、でも自分はつまるところ、やっぱり人が好き、話すのも好きなのかなと思います。

怒っている人も、混乱している人も、
その向こうにあるのは「不安」と「安心したい気持ち」。

声のトーン、間、話し方、言葉選び──
私はコールセンターで、“人の心の声”を読み取る技術をこつこつと学んでいたんです。

コールセンターで学んだことは、今の私の土台

現在、私は「占いカウンセラー」を目指して勉強を続けています。
不思議に思われるかもしれませんが、コールセンターでの経験は、今の学びにつながっていると感じています。

  • 人の言葉の奥にある感情を読み取る力
  • 相手の望む答えではなく、“本当に必要な言葉”を届ける勇気
  • そして、どんな人にも寄り添う姿勢

これらはすべて、受電という現場で培った力でした。
あのとき学んだ「傾聴」の技術が、今の私の占いの学びのベースになっています。

まとめ|AIにはできない、“人と向き合う”仕事の面白さ

AIチャットが急速に普及し、コールセンター業務も自動応答やチャットボットがメインになりつつある今、「人間が電話に出る意味」は着実に変わり始めています。

でも、怒り、不安、葛藤、沈黙のような感情の揺れに応えるのは、人間にしかできないのかなと思います。
コールセンターの受電業務は、肉体的にも精神的にも本当にきつい仕事です。
でも、私はあの場所で、人間の怖さも面白さも、奥深さも全部見せてもらったような気がします。
そして今、私は別の形で、人の声を聴こうとしています。
AIにはできない、人の声を聴く力。
それが、これからの私の財産であり、武器でもあるのだと思います。


▶ 関連記事:発信業務についてはこちら
【50代派遣主婦】コールセンター歴10年超の派遣主婦が語る発信業務で得た学びとは
▶転職三昧については
【50代転職×占いの体験記】天中殺と派遣迷子を経て見つけた「自分らしい働き方」 – 50代、占いカウンセラーを目指して


コメント

タイトルとURLをコピーしました